50周年記念誌「子供たちの心と身体の成長を願って」寄稿文から
会長 河合基文
私たち指導者は子供たちに野球を教えているが、長年子供たちと接していると、子供たちから教えられることも少なくない。
たとえばずいぶん昔にこんなことがあった。
ジュニアーズでは毎年6年生の卒団式の直前に、5年生とお別れ試合をすることになっている。ある年のお別れ試合で、6年生のキャプテンにその試合の出場メンバーを任せた。当時6年生は18名いたのだが、試合が始まってみて驚いた。キャプテン自らはベンチにいて、公式戦などにあまり出ていなかった子たちを全員先発出場させていたのだ。レギュラーだった子たちが進んでバット引きなどの仕事を引き受けている。子供たちなりに、仲間に対する感謝の気持ちを表したかったのだと思う。子供たちが互いを思いやる気持ちに胸が熱くなった。
子供から少年になるこの時期に、子供たちは毎週末、いっしょに白球を追いかけ、ときに厳しい練習に悲鳴をあげ、ときに勝利の瞬間の笑顔を弾けさせ、ときに敗者の涙を流す。3年から5年もの長い間、同じグラウンドで汗を流し、同じ目標に向かっていった仲間こそが、彼らの財産になるのだと私は信じている。
ジュニアーズ という組織が、子供たちの心と身体を成長させる場であることを確認し、他の7つの団と協力しながら、野球を通じたコミュニティをさらに充実したものにしていきたい。